破れ修理 指袋編

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修理界の隠れキャラ

今回のご依頼は指袋の破れ修理です。

この部分が破れているグラブはけっこうあるのですが共通して言えるのは「長年お使いいただいている」という事でしょう。

やはり指袋は指触りが良くないといけないので薄く柔らかい革を使用しています。

なので耐久性が表の革より低いのです。

しかも通気性の悪いグラブ内側に位置するので汗を中心とした何か悪い物がじわじわと攻撃を始め、革をカチカチに変化させるのです。

カチカチに変化しただけなら問題ないのですが指でこすったり押したりするので次第にもろくなり最終的に崩れ落ちます。

そうして画像の赤で記した部分、つまり指袋の側面に穴が開くのです。

修理パターン

この指袋の破れを修理する方法は2つあります。

一つはヘリ革を外して指袋ごとごっそり替えるパターンですがコストを考えるとどうかな?という気がします。

もう一つは破れた部分のみ縫い合わせて補修するパターンです。

私の経験では今まで後者の修理しかありませんが一度はごそっと全交換をやってみたいものです。

誰かやってみませんか?(^^)/

内部を探れ

それでは修理に取り掛かります。

まず、最初にする事は手口付近皮ひもを全部外して指袋を引っ張り出す事です。

引っ張り出すって、出来るのそんなこと?

と、いう気持ち分かりますよ、そんなの外に出すにも見えないじゃんてね。

ジャジャジャジャ~~~~ン!

出た~!出ましたよ皆の衆!指袋が出ましたよ!

これがグローブの指の中に入っているのです。

で、問題の破れ個所を拡大してみると

しっかり破れてますね。

破れる位置は決まってここです。

縫糸から1mm内側、ここが破れます。

なぜかというと縫糸はけっこう強くて汗なんかにも負けないので同じようにテンションかかっても切れないのです。

だから縫糸のすぐ横が負けて破れます。

修理方法は決まっている

破れ箇所が内部から確認出来たら補修に取り掛かります。

やり方は単純で平裏との境目を解き、一度分解した後、破れた部分をカットして引っ張り、再度縫い合わせる。

というやり方です。

この説明だけで分かった人は知能指数1300!ルチ将軍!なので図解すると

という事になります。

つまり破れた部分の内側を再度縫ってやるのです。

ここで1つ注意しなければならないのは革を外側に引っ張って縫っているので既存の指袋より穴が小さくなるのです。

だから引っ張り過ぎると指が入らなくなるので注意が必要です。

縫えました。余分な革もカットし作業終了です。

破れ付近の革は薄く弱っているので念には念を入れて二重で縫います。

で、指袋をグローブの中に戻し皮ひもを締めたら修理完了です。

まとめ

指袋の修理は紐を解いてからの作業になるので結構な時間が掛かりますがかなり綺麗になるので出来上がった後の満足度は高いです。

そして何よりグラブを握った時に指が内部に「にゅっ」て入る、あの気持ち悪さが無くなるのでやって良かったなって思います。

「もう、指のとこ破れたからこのグラブ捨てようかな」と、考え中の方は一度ご相談下さい。

それではまたお会いしましょう(^^)/